【「子供の挑戦」✕「家族チーム」】岡田麻央さん編<後編> 「子どもが自分らしくかっこよくあるために、家族は機会と励ましを!」

【「子供の挑戦」✕「家族チーム」】岡田麻央さん編<後編> 「子どもが自分らしくかっこよくあるために、家族は機会と励ましを!」

インタビュー

 ”子どもの挑戦 × 家族チーム”インタビュー(対談)シリーズ、今回は3×3現役MVPプレイヤーでありながら株式会社サクラカゴを経営されている岡田麻央さんの最終回(後編)となります。

 前編はこちらから

岡田麻央(おかだ まお)

3×3プロバスケットボール選手。TOKYO.B.B所属。ポジションはシューティングガード。

女子バスケの「価値」と「影響力」の向上を目指し、女子バスケを通じて社会や未来に貢献することをMissionとした株式会社サクラカゴの代表取締役。 

高校卒業後トヨタ紡績サンシャインラビッツに入団。5年目にW1リーグ優勝を果たし、その後に副キャプテンを経て26歳で引退。引退後はモデルやタレント、リポーターなどの芸能活動を開始。2018年の夏、国内初のバスケットボール3×3女子リーグが開幕した際、選手として復帰。2019年の秋、サクラカゴを設立。女子バスケットボールのプロモーション活動を多岐に渡って行なっている。

その一方、YouTubeチャンネル【TOKYO HOOP GiRLS】の運営や、全国各地のバスケットボール部やバスケットのクラブチームを対象としたクリニック活動に積極的に取り組んでいる。

「自分自身を客観視」することでたどり着いた、私の幸せの定義。

鈴木

ご自身をとても冷静かつ客観的にみてますよね。自分自身を客観視する(メタ認知する)ことは、逆境でも好機でも大切だと思いますが、良い方法はありますか。

岡田さん

私にとって中学校のクラブチームでやっていた「バスケットノート」は、とても有意義だったと思います。
バスケットノートとは、どのようなものですか。

岡田

バスケットノートは、部員が先生に提出するものなんですが、そこにはバスケット以外のことを書いてもいいんです。むしろ、バスケット以外の日常にある嬉しかったことや悲しかったこと、その日にあったことを1日1回、何でもいいから自分に向き合って書いて提出するんです。先生はちょっとしたコメントを書いてくれることもありますが、必ずアンダーラインを引いてくれます。私はそのアンダーラインにはどのような意味があるんだろうって考えるようになったんです。アンダーラインを通じて、先生の視点や客観的な視点を養うことができたんだと感じています。学生時代の恩師は、バスケのプレーヤー以前に人として成長させてもらったと言いましたが、バスケに限らず日々日常の様々な場面、様々な心境に対して、バスケットノートを通じて自分や自分を取り巻く環境を客観視するような癖がついたんだと思います。
なるほど。素晴らしい取り組みですね。

岡田

さらに「バスケット通信」というものがありました。バスケ部員のノートから、先生が共有する価値のある内容をコピーして、その内容に関するコメントを書き加えてみんなに配ってくれていました。考え方も視野も大きく広がるきっかけになりました。
そのような岡田さんが実業団バスケを辞める決断をされたのは、どのような背景があったのでしょうか。

岡田

25~26歳くらいの時に、怪我のこともありますが、あと3~4年で実業団バスケ選手として引退するだろうと冷静にリアルに捉えていました。この後の人生、どうするんだろうなって。自分自身を客観視して「私の幸せの定義」を見つめ直したのもこの頃です。自分に向き合った結果、私が幸せな瞬間は大好きなことを一生懸命にやっている時で、幸せな瞬間を周りの人たちと分かち合えるのが私の幸せの原点なんだって辿り着きました。その状態はすごくいいなって。それだったら全員ハッピーやんって思えました。これをバスケ以外でもできないかなって考えました。また当時の女子バスケもなかなか盛り上がりきれていなかったので、大好きなバスケ界に対して私も何かできないかなって思って。そうして自分らしく幸せな人生を送るためにメディアに挑戦する決断をして、実業団を思い切って辞めて東京に進出しました。
その後、レポーターやモデルやタレントなど、幅広く活動されていましたが、かなり珍しいキャリアですよね。

岡田

引退後に解説者になる方もいらっしゃいますが、私は日本代表でもないし、さほど有名でもないし、私が解説してもバスケの競技観戦人口に大きな変化は起こせないと思いました。
そこで、私は今までのバスケ選手がやっていないことをやっていこうと思いました。最初は事務所に登録して色んな活動をしていましたが、尻込みすることなくいろんな方に相談したり、アドバイスを実践することで徐々に道が切り拓かれていきました。
「バスケ界が盛り上がることをやる、バスケを通じて様々な環境の人達に貢献する」という信念をぶれずに抱きながら活動していたら、人とのつながりも機会もどんどん広がっていきました。今では会社を起業し、理想の実現に向けて日々楽しみながら取り組んでいます。さらに3×3が始まって、選手としても出場できるようになって。
なるほど、そのような経緯があって、現在のキャリアへと広がったのですね。

「子どもたちは、かっこいい自分を想像して」、「家族は、出会いの機会と励ましを」

鈴木

最後に、夢や理想の実現に向けて、大切なことは何だと思いますか。
夢を追う子どもやサポートするご家族にメッセージをお願いします。

岡田さん

子どもには、なりたい自分、かっこいい自分をイメージしてほしいなって思います。憧れの人を見つけるのもいいですよね。
なりたい自分がイメージできていたら、きびしい練習も辛い逆境もぶれることなく取り組むことができます。そして、いろんなことに挑戦してほしいです。これをやりたい、これが好きって思ったら果敢に取り組んでほしいし、これは違うかも?って感じたら次を探したっていいと思います。

ご家族には、お子さんがなりたい自分をイメージするような、引き出すような機会を作り出してほしいです。子どもが憧れるような場面やヒーローやヒロインとの出会いもそうでしょうし、好奇心を広げたり挑んだりする機会を一つでも多く設けてもらえればと思います。また、子どもが挑んでいる過程を温かく見守ってあげてほしいです。努力の過程を褒められると、子どもはますます努力することが楽しくなると思います。自分自身を冷静に客観視して、挑むことに対して計画的に実行し、周囲の人たちと支え合いながらしなやかに挫けずに向き合っていけるような強さを身につけると思います。
岡田さんの話から、1人でも多くの子どもたちが希望を抱いて、夢や目標に向かって挑むことを心から願っています。本日はありがとうございました。